【完】イミテーション・シンデレラ
真央は誰にだって良い顔はしない。不器用な性格ってのもあるけれど、好きになったらその人しか見えない。
だから今の真央は静綺にしか特別な表情を見せない。 そしてそんな真央の特別な顔を引き出せる静綺が羨ましかった。
私と付き合ってた時だって私ばかり好きで、真央はあんまり笑ってくれなかった。感情をあそこまでむき出しにする事も無かった。
「私、珈琲は…」
「知ってる。真央と一緒で苦くって飲めないんだっけ?
本当はビールだって苦手な癖に、昨日は大人ぶっちゃって。
シャンパンなんて、本当は味も分かんないんだろう?」
だからそういう全てを見透かしたような発言がムカつく…!
「だからあんたはいつも人を子供扱いして…!」
「大丈夫。それココアだから。砂糖もミルクもたっぷり」
よくよく見ると昴から渡されたカップからは、甘ったるい匂いがしてる。
…そういう優しさが、憎いのよ。 私の事を良く知ってる振りして、いっつも余裕で…。
こっちは余裕なんて全然ないのに。 どうして昨日あった事を気にせずにいられるの?