【完】イミテーション・シンデレラ

はぁ?!!!!???!!!!

キョウリョク?何の?
アイドルは…アイドルは…恋愛禁止なのよ?

在籍中に恋愛をしていた私に言う資格はないが、今こそその条約は守って頂きたい。

上目遣いでこちらを覗きこむ梨々花は不安そうに眼をぱちぱちと瞬かせる。

「駄目、ですか…? やっぱり岬さんも…大滝さんを?」

「ないないない!!昴なんてぜんっぜんタイプじゃないもの!
それに全然友達だし、そんな意識すらした事なかった!
協力、協力ね!出来る事ならするわ!」

私の言葉に梨々花は花が咲いたようにぱあっと顔を明るくして、私へ抱き着いて来た。
キャンディみたいな甘い香りがする梨々花の髪の毛にくらくらしてしまう。
馬鹿…。ほんっとうに、馬鹿!どうするつもりなのよ。

「やっぱり岬さん優しい…。好き…。」 そう言って、顔をくしゃくしゃにして笑う。本当に嬉しい時の、素直な梨々花の笑顔。

言えない。今更言えない。 私も…もしかしたら昴の事が好きなのかもしれないの。だから梨々花の協力は出来ない。

この時正直に言えなかった想いが、後に自分を苦しめる事になるのだ。

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