【完】イミテーション・シンデレラ

コートのポケットに手をつっこみ、そんな事を考えているとラインを受信した。

『仕事終わった~?いまどこ~?もう着くでしょう?』 メッセージの相手は、昴だった。

もしも梨々花の想いを昴に伝えたら、どんな顔をするのだろう。 分かっているわ。あの子が昴のタイプど真ん中って事は

案外すぐに仲良くなって、いつの間にか付き合いだしちゃうんじゃないかしら。 そうなったらそれで…昴にも梨々花にとっても良いのかもしれない。

ボンヤリとタワーマンションを見上げていると、くしゅんとくしゃみが出てきて、鼻水が垂れる。

バックの中から、ティッシュを取り出して鼻をかむ。
けれどもかんでもかんでも鼻水は止まらなかった。風邪でもひいちゃったのかしら。
ふと頬を触ると、温かい水の感触が肌に染みついた。

「おい、岬ッ!」

マンションのエントランスから、慌てた様に走って来る昴の姿が見えた。
容姿端麗な昴は、部屋着でも目立つ。

大体人気芸能人のくせに、変装もしないで外へ出てくるのはどうかしていると思う。
こんな所、週刊誌にでも見られたら?!

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