没落人生から脱出します!

「魔力量がゴム弁で調節できるようになったから、魔石の複合に挑戦してみようと思ってな」
「複合?」
「例えば、製氷機だな。今までは、水を入れるところは手動で、冷却の呪文を刻んだ魔石を使って作っていたんだが、氷ができたらゴム弁を開き、水魔法の魔石で水を足すようにできれば、夜に魔力を込めておけば朝には多くの氷ができるような仕組みが作れる。飲食店では重宝させるんじゃないかな」

 なるほど。魔石を組み合わせて新たな効果を生み出すということか。
 エリシュカは感心しつつ、それなら、と思い付きを話す。

「だとすれば、温風と冷風の出る機械なんて作れたらいいなって思います。まずは風魔法を使って、そこから分岐させてはどうでしょう。どちらに風を送るかは手元のスイッチで変えられるようにして、片側に冷却魔法、もう一方に発熱魔法を書き込むんです」

 エアコンというやつだ。スイッチ一つで温風にも冷風にもなるなら便利だと思う。

「ふむ。しかしこれは結構魔力を食うな」
「駄目なんですか?」
「エリシュカは魔力が豊富だから気にしたこともないのかもしれないが、魔力量は個人差が大きい。魔道具は魔力の少ない子供や老人が使うことも想定し、できるだけ少ない魔力で動くように設計するのが大事なんだ」
「なるほど」
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