かりそめの関係でしたが、独占欲強めな彼の愛妻に指名されました


『俺、彼女に振られたんだよね。澪、慰めてくれない?』
『何人目? 先月もそんな話聞いた気がするけど』
『数えてるわけないじゃん。でもまぁ、六、七人目くらいかなー』

黒田は、噂通り女性関係が乱れていて軽薄そうではあったものの、陸との付き合いではそんな部分は関係ないと放置していた……のだけれど。

『黒田がさ、結構真面目に澪のこと好きなんだって。あいつ、いいやつだしさ、付き合ってみてもいいんじゃないかって思うんだけど……ほらおまえ、最近元気ないじゃん。色々と環境が変われば気分も変わるかもだしさ!』
『……黒田って、彼女いなかったっけ? 八人目だか九人目の』
『別れたって。なんかずっと澪のこと好きだったみたいだけど、俺の妹だからって言いだせなかったみたいでさぁ。ああ見えて一途なんだなって俺ちょっと感動しちゃったし、いいと思うんだけど……澪的にはどう?』

陸を通しての告白を受けたのは、中三の春。
ちょうどその頃、気落ちしていたこともあり、流されたというのが正しいのかもしれない。

『……別に、いいよ』

もっとも、そんなあやふやにスタートを切った関係は、一ヵ月と続かなかったけれど。

私の黒歴史だ。


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