東京ヴァルハラ異聞録
振り返ったビショップが、嬉しそうに笑って、光の方を見た。


ビショップが言うように、東軍の方から恐ろしいまでの力を感じる。


こんなに離れているのに……それに、どこか安らぐような感覚だ。


「フハハハハハッ!お前らは後だっ!!まずはあいつを殺してやる!!」


異常な力に歓喜し、東軍へと飛んだその時だった。


光が伸びる。


そして、ナイトが持っているような巨大な槍が、ビショップに向かって飛んで来たのだ。


「!!ぐおおおおおおおっ!!」


回避も間に合わない。


いや、確かに回避はしたはずなのに、その槍はビショップを貫き、そのまま後方へと押し戻した。


それは、俺に向かって飛んで来て……。


「昴少年!!」


「結城!」


「昴くん!」


恵梨香さん、秋本、明が、俺に手を伸ばして、何とか避けさせようとしてくれたけど……その槍は俺を貫き、それと同時に辺りが光に包まれたのだ。


不思議と痛みはなかった。


それどころか、暖かいものに包まれるような。


白く、視界が光に包まれて。


ふわっと、天に昇るような感覚の中、俺は目を閉じた。


死んだわけじゃない……そんな確信だけがあった。
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