東京ヴァルハラ異聞録
白く巨大なバベルの塔。


魂の世界ヴァルハラ。


ここで出会った顔も名前も知らない人達が、こうして集まっている。


それは、嬉しい事だった。


「隣にいる人を見てください。この街に来るまで、会った事もない人達が、同じように会った事のない人達と殺し合う。こんな馬鹿げた話があるかと、誰もが思ったでしょう。でも、それはこの時を迎える為に必要な事だったと思いたい。じゃなきゃ、死んで行った人達が報われない。俺達は、そんな人達の死の上に立っているんです。想いを受け継いでいるんです。皆、終わらせましょう。こんな馬鹿げた戦いを。皆で、元の世界に帰るんだ!俺達は……軍は違っても、同じ目的を持った仲間だ!!」


思っている事を、とにかく言ってみたけど……反応がないな。


やっぱり、俺なんかじゃここに集まった人達の心を動かせないのか。


そう、思った直後。


至るところから歓声が上がった。


バベルの塔の根元にいるポーン達が怯える程の歓声が。


「ふん。悪くない演説だったぞ。少年の心は、皆に伝わっただろう」


ポンッと、恵梨香さんが俺の肩を叩いて微笑んでくれた。


そう言ってもらえると、気が楽になるよ。
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