東京ヴァルハラ異聞録
「お前の相手は俺だよ!相手を間違えてるんじゃない!!」


「久慈!!」


突き付けたハルベルトの切っ先が、剣の腹に当たって動きを止める。


あんな重そうな武器で、あの速い動きに付いていけるのかと心配したけど、どうやらそんな心配は無用のようだ。


俺は逃げた。


切断された腕を押さえながら、とにかく遠くへと。


だけど、外にいてはまた襲われるかもしれない。


そう考えて、辺りを確認した後、通りかかった整骨院の中に入って、助かったと溜め息をついた。


まさか、あんな強いやつがいたなんて。


院内の長椅子に腰掛けてPBTを取り出した。


ソウルを使って回復をする。


だけど、腕が切断されても回復なんてするのかよ。


痛みはある……だけど、腕が切断されているにしては、痛みが少ないような気がする。


腹部を刺された時もそうだったけど、これも戦いやすくする為に、この世界がそうしているのか。


なんて、今はどうでもいい。


ソウルを使用して、回復を開始した。


出血が止まり、傷口から痛みが消えた。


「まさか……トカゲの尻尾みたいに新しい腕が生えてくるのか?」


なんて考えながら、俺は長椅子に横になった。
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