ぼっちのキミに毒はまり ゾルック 一人目


 そうだよね?と、
 千柳さんに聞かれた綺月君。

 みるみる、
 顔が真っ赤に染まっていく。



 ひゃっ。
 やめて、綺月君。

 私のことで、
 恥ずかしそうにテレるのやめて。


 恥ずかしさ、私に伝染しちゃう。


 私の顔まで熱せられて、
 焼けこげちゃうから。



 ま……待って。綺月君。

 今、私に近寄らないでよ。

 心臓が止まっちゃうと困るから。




 私の心の慌て声なんて、
 届くはずもなく。


 綺月君は、
 私の耳元に甘い声を吹きかけた。
 



「心美……覚えといて」


 え?

「俺……
 オマエがそばに居てくれないと…… 
 ステージに……立てないからな……」



 耳元で綺月君にささやかれて。


 かぁ////////////


 まだ焦げるのかって程、熱くなる私のほっぺ。



 声を出す余裕も、
 顔を上げる余裕もなく。


 私は壊れたオモチャのように、
 コクコクと、何度も何度も頷いた。
 



< 260 / 274 >

この作品をシェア

pagetop