Sister Cherry! ~事故った妹は今日も事故る~ 【シーズン2】
【ここまでのお話】

あらすじ&登場人物

この物語は続編です。
前作からお読みになることをお勧めします。

Sister Cherry! ~事故った妹は今日も事故る~【シーズン1】
https://www.berrys-cafe.jp/pc/book/n1620370/



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 【シーズン1までのお話】



 中学二年の女の子、此花桜子(このはな さくらこ)は、ある日頭をぶつけて自分にまつわる一切の記憶を失ってしまう。

 担ぎ込まれた病院で、転びかけたところを抱き留めてくれた年上の男の子……
(どストライク。神様、これは剛速球、直球ど真ん中のどストライクっ!)
そのカッコイイお兄さんに桜子はひと目惚れする。

 “お兄さん”が正真正銘“お兄ちゃん”、記憶喪失で忘れてしまった実の兄、遼太郎(りょうたろう)とも知らずに――……


 頭でわかっていても、今の桜子には遼太郎は“初めて会った男の子”。一挙一動にドキドキし、ことあるごとに暴走&事故りつつ、想いを募らせていく。

 一方の遼太郎も、思春期を迎えてナマイキだった妹が、妙にしおらしくてカワイイ。時には“知らない女の子”に見える桜子に、ドギマギすることもありつつ、昔みたいに兄妹仲良く過ごす日々は、まんざらでもなかった。

「遼太郎さんのこと“お兄ちゃん”って呼んでもいいですかあ///」
「いや、それが普通だから」
「だって、会ってすぐ“お兄ちゃん”って呼ぶの恥ずかしいじゃないですかあ///」
「妹から名前に“さん”付けで呼ばれる方が、よっぽど照れ臭いわ」


 桜子にとって遼太郎は“大好きな男の子”、遼太郎にとって桜子は“可愛い妹”。二人の距離は近づきながらすれ違い、事故る日々を重ねていく。

 記憶の戻らないまま学校生活に戻った桜子を迎えた、前からの友達、新しい友達……
「あたし、二人とはまたすぐに仲良くなれそう……!」
「バーカ、なれそうじゃねーよ。アタシらは、ずっと仲いいまんまだよ」
「ずっと待ってたよ。いつまでだって待つよ。おかえり、桜子!」

「東小橋君って、実は忍者とかなの?」
「実は根来流の末裔でござる。秘密でござるよ?」


 素材はいいけどモッサリした遼太郎が、妹に“改造”されたり……
「待って? 今、お兄ちゃん無音カメラで撮らなかった?」
「女の子のスマホ見せろとか、どういう料簡だ、このスマホ太郎!」


 遼太郎のお誘いで、二人映画を観に……お兄ちゃん的には“改造”のお礼に妹を遊びに連れてく、妹にとってはまごうことなき“デート”……出掛けたり。
「今日一日、“デートしてる彼氏彼女のフリ”するってのはどうですかあ?」
「じゃあ、次の駅から、桜子が俺のこと“お兄ちゃん”と呼ぶの禁止な」


 そんなフツウなようでどこかオカシイ、兄と妹の楽しい毎日の中で、しかし桜子は心に常にひとつの不安を抱いていた。
「いつか、あたしの記憶が戻ったら、この恋も消えてしまうんだろうか……」

 それがフツウなんだ、今がオカシイんだ。それはわかっているけれど、そう思うと、とても寂しくて悲しい気持ちになる……


 やがて、その時はやって来た。

 ある日の放課後、家で不意の眩暈に襲われた桜子、物音に気づいて倒れ掛かる妹を抱き留めた遼太郎。それは桜子の記憶の戻る瞬間だった。
「お兄ちゃん、あたし……思い出したくない……!」
「お前、何言って……?」
「折角、お兄ちゃんと仲のいい兄妹になれたのに、お兄ちゃんのこと大好きなのに……“本当の桜子(キオク)”が戻ってきたら、“この桜子(あたし)”は消えてしまう……」

「助けて、お兄ちゃん……“この桜子(あたし)”、消えたくない……」


 心象風景の中、砕けた記憶の(バラバラになった)“桜子達”が出会い、想いをぶつけ……桜子は、ついに記憶を取り戻した。自分のこと、両親のこと、友達のこと……そして、遼太郎のことを全て思い出した。

 もう遼太郎は“知らない男の子”ではなかった。実の“お兄ちゃん”、ウザくて、ダサくて、顔は悪くないクセにオタクの、デリカシーも足りない“りょーにぃ”だった。そして桜子の事故った恋心は――……

「覚えてる……あたし、お兄ちゃんと仲良くなったこと、覚えてる……! お兄ちゃん! あたし、記憶が戻っても、お兄ちゃんのこと大好きっ!」


 記憶は戻った。恋は消えなかった。しかしながら……
「お兄ちゃん、大好き……なわけないだろっ! 離れろ!」
「何?! てか、突然どーした?」
「どーしたじゃねー! 何、妹抱き締めてんだ、このヘンタイ兄!」
「いや、抱きついてたのは、どちらかと言うとお前……」

「お兄ちゃんのことを好きな妹なんて、いないんだからねっ!」

 実のお兄ちゃんだと頭で理解しても、記憶と実感がないのだから、好きでいても仕方ないと言っていいと思う。
(けどガッツリりょーにぃのことを思い出したのに……それでも好きなら……)

(純粋に実兄ラヴの、ヘンタイ妹じゃねえかよお……)

 殺してくれ。もっかい記憶を消してくれ。


 こうして此花桜子は、記憶をなくして実のお兄ちゃんに恋をして、記憶を取り戻して実のお兄ちゃんが好きなままだった。

 でもそれは、今までとは決定的に違うのだ。禁忌(タブー)禁忌(タブー)だと、言葉でしかわかっていなかった今までとは。
(あたし達、ホントこれからどうなっちゃうの……?)

 どうなれるの――……?


 事故った妹は、きっと、明日も事故る――……



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 【シーズン1までの登場人物】



 【此花家】


 ~此花桜子(このはな さくらこ)~

「は……初めまして、妹の桜子です」

 この物語の主人公、中二女子。黙っていればクラスでイチニの美少女で通るが、内なるヘンタイ性は本人も自覚している。

 交通事故で記憶をなくし、実の兄の遼太郎に恋してしまう。言えるワケのない恋心は一応隠してはいるも、日々暴走しては事故り、溢れる想いはもはや失禁状態である。しかしダダ洩れの想いも、それを凌駕する遼太郎の鈍感さにスルーされているが……

 【シーズン1】のラストで記憶が戻り、遼太郎のことを思い出しながらも、恋愛感情は消えずに残ってしまい、苦悩の【シーズン2】が今幕を開く――……


 ~此花遼太郎(このはな りょうたろう)~

「あいつ、頭でも打ったのか? ……ああ、打ったのか……」

 桜子のお兄ちゃんにして想い人。高二。眼鏡。顔がいいクセにカッコを構わずモッサリしていて、自己認識は非モテのオタク。母曰く“残念なイケメン”。

 記憶を失くした妹の“お兄ちゃん大好き”っぷりを、全て“子ども返りした”&“モテない兄をからかってる”で受け止める鋼の朴念仁。ただ、ふと桜子が“知らない女の子”に見える瞬間に、ドギマギしてしまう自分に戸惑いもしていて……

 物静かで優しいのだけど、この人、どこか“ドS”を内に飼っているフシが……


 ~おかーさん/此花桃恵(このはな ももえ)~

「我が息子ながら、こうして見ると結構カッコイイわ」

 桜子と遼太郎のお母さん。おっとりぽっちゃりしたご婦人。桜子の事故にはショックを受けたが、記憶のない娘とも変わらず仲良しの偉大なるかな母の愛。

 料理の腕は抜群で、中でも唐揚げは記憶喪失以前から桜子の大好物。娘は密かに、おかーさんは胃袋つかんでおとーさんと結婚した、と思っている。

 桜子とおかーさんがタッグを組めば、遼太郎も沈黙せざるを得ない。おとーさんも。


 ~おとーさん/此花照一郎(このはな しょういちろう)~

「桜子の記憶もいずれは戻る。それまで“今の桜子”に優しくしてやればいい」

 同じくお父さん。イケオジ。生真面目で無口、言葉にはしないが息子を頼もしく思い、娘が可愛くてしょーがない。

 此花家では華やかな女性陣に対して、男性陣は受け太刀になりがちだ。おとーさんはいつも静かに、陰ながら大きな愛で家族を包んでいる。言い換えれば、出番が少ない。

 頑張って、おとーさん(桜子)。



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 【桜子の友人とか】


 ~サナ/平野早苗(ひらの さなえ)~

「うわ、“初対面”からそれかあ。桜子(にい)、やり方が汚えよな」

 桜子の親友。小学校からの付き合い。ショートカットで背が高くスレンダー、サバサバした性格のボーイッシュな少女。陸上部。

 桜子と、同じく親友のチーとの三人組ではツッコみ役。記憶を失くした桜子とも自然体で接し、すぐ“新しい昔からの友達”になった。

 とある出来事から桜子の遼太郎への恋心を知ることになり、困惑しつつも、その真剣な想いは友人として応援してあげたい。ちなみに自身は、恋愛沙汰には奥手で苦手。


 ~チー/都島千佳(みやこじま ちか)~

「ハイ! 私は記憶がない桜子は、何かエロいと思います!」

 サナと同じく桜子の親友。桜子からは“チー”、サナからは“チカ”と呼ばれている。小柄で二つ括り(ツインテール)がトレードマーク。

 自由奔放、傍若無人。人呼んで“肉食系小動物”。ちょいエロで、ふざけて桜子の唇の貞操を奪おうとしたりして、サナがチョップでツッコむのは日常の風景。

 サナ同様、桜子の想いを知っている。口では手放しで応援しているが、本心では結構心配している。ちなみにミニマムな身長の割に、おっぱいが立派。


 ~アズマ君/東小橋博之(あずまおばせ ひろゆき)~

「実は拙者、根来流の末裔でござる。秘密でござるよ?」

 桜子の隣の席の男子。大柄でやや太め、アニメ好きでゲーム好き、忍者キャラで喋る尖ったオタク少年。名前の読みが変わっているが、関西に実際ある地名。

 記憶を失くしたまま学校に行った桜子が、最初に話し掛けた相手。以来桜子とも、サナとチーとも割と親しくしている。

 重度のオタキャラながら、心優しき好漢。話すと意外に面白くて、フツーにしてればフツーなのだが、アイデンティティ―故に貫き申す。死して屍拾う者無し……!


 ~ゆっきー先輩/住之江有希(すみのえ ゆき)~

「記憶喪失とか、そんなマンガみたいな奴がいるかー!」

 三年生。桜子の所属する(ことを覚えていない)女子バスケ部の“鬼主将”。バスケのこととなると周りが目に入らなくなる。熱血直情でいろいろ激しいけど、根はいい人。

 2年のエースだった桜子を、後輩として可愛がっていた。ちなみにゆっきー先輩の“カワイガリ”はこれまたとてもハゲシイ。


 ~ケンタロー/江坂健太郎(えさか けんたろう)~

「妹ってアレだろ、『お兄ちゃん大好きー』とか言って抱きついてきたり、頬っぺにチューしたり、時々パンツ見れたりするんだろ?」

 遼太郎の友人。お調子者で遼太郎とはタイプが真逆だが、気が合ってつるんでいる。二人とも名前が“〇太郎”なので、クラスでは“タローズ”と呼ばれている。

 いかにも高校生男子らしい愛すべきおバカさん。クールな遼太郎とはいいコンビ。シーズン1では出番皆無だったので、活躍が期待される……出るかな?


 ~タングステンの指輪~

「ちょ、ウソ?! マジで?! 抜けないんだけどっ?!」

 呪われし指輪。


 ~快〇天~

『桜子さんの保健体育の知識がアップデートされました』

 えっちい漫画。お兄ちゃんのお宝。



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 【その他】


 ~ユマ・ビッグスロープ~

「ようこそ、お二人さん。異世界“カルーシア”へ――……」

 何か、桜子の夢に出てきた人。


 ~コトレットさん~

「るああ」

 何か、桜子の夢に出てきたよくわかんない人。



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 【Sister Cherry!主題歌】



 ノリで作られたこの物語の主題歌。歌詞だけ。曲はアナタの心の中に。


 【Sis‘s love for you,bro!】

(Aメロ)
あなたを忘れちゃったら 初対面?
その腕の中で 気づいた禁忌(タブー)

(Aダッシュ)
あなたは笑って「好き」と 言うけれど
あたしが欲しいのは その“好き”じゃない

(Bメロ)
キオクとキモチの 間でココロが揺れる
あなたと過ごした時と そのヘンなクセを
全部忘れていても たぶん知ってるよ

(サビ)
止められない この想い 止めたくないの 
ホントにホンキになったら どうしよう? ねえ?

桜咲く あの場所で また会いましょう
何度忘れてもあなたを また 思い出すから

(Cメロ)
イノセントな思い 気づいてますか?
さあ、堕ちていくよ 禁断の恋へ――……


(Aメロ)
外れない指輪みたい この恋は
見知らぬ“あたし”が 鏡で笑う

(Bメロ)
キオクとキモチが 作ったココロの迷路
あたしが過ごした時と あなたへの“好き”は
全部思い出しても きっと消えないよ

(サビ)
逃げ出したい 裏表 飛び込んでみたい
ホントのホンキになったよ どうするの? ねえ?

向日葵の 花束を 持って会いにきてね
何度忘れてもあなたを あたし 待っているから

(Cメロ)
インセストな愛は 躊躇いますか?
ほら、捕まえたよ 幸せな檻に――……


(落ちサビ)
この胸に ありったけの
Sis‘s love for you,bro――……
Really I get serious,
wtacha gonna do?


(ラストサビ)
嬉しくて 残酷で 泣きながら笑って 
ホントのホンキになったよ どうするの? ねえ?

向日葵の 咲く丘で いつかきっと二人は――……
悪戯なキスをあなたに ほら あげるから

(ラストCメロ)
イノセントな思い 気づいてますか?
ああ、堕ちていく 真っ青な空へ
あなたに向かって――……


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