東京ルミナスピラー
「嘘だろ? 冗談だよな……何とかするんだよ! 頑張って、何とかこのキングを壊してくれよ光!」


父さんに促され、手を握りしめてトントンとキングを叩く姉さん。


当然、そんなことではキングが破壊出来るはずもなくて。


「こんなことってあるかよ……じゃあ何か!? 最初っからこうなる運命だったってのか!? おい昴! お前、こうなることがわかってたのかよ!」


「離せ拓真! 俺達が邪魔をしてこの事態を避けられれば、名鳥さんも葵も俺を恨むだけで済んだんだ! こんな絶望を与えることはなかったんだ!」


「なんだとこの野郎! お前はいつもそうやって一人で!」


結城さんと拓真の口論も、どこか遠くで聞こえているみたいだ。


姉さんは相変わらずキングを壊そうと、何度も何度も手で叩いているけど……もう無理だ。


「はぁ……はぁ……お父さん、葵……灯……どこにいるの? 私を一人にしないで……お願い」


「姉さん、俺はここにいるよ。父さんだって姉さんだって、すぐそばにいるんだよ」


キングを叩く手を取り、俺は姉さんの角の生え際に頬を寄せた。


灯も泣きながら姉さんを背中から抱き締めて。


父さんはそんな俺達を包み込むように抱き締めてくれた。
< 326 / 1,486 >

この作品をシェア

pagetop