東京ルミナスピラー
「灯……嘘だよな? お前が化け物だなんてさ」


右手で灯の頬を撫でて、小さく呟く。


意識がないみたいで、返事もしてくれない。


そう言えば、千桜さんが言っていたな。


津堂達は東軍方面に逃げている途中で自殺したって。


布団を捲り、身体を起こすと、ずっと寝続けていたせいかフラフラする。


灯は、吹雪さんが見繕ってくれたのか、白いワンピースが着せられていて、全裸ではなかった。


「津堂のせいで灯がこんなことになったんだ。津堂なら……きっと元に戻せるはずだよな」


そう言って、眠ったままの灯を起こして、俺は灯をおぶった。


見付かれば絶対に止められる。


だから、俺は誰にも見付からないように、周囲を確認しながら部屋を出てエレベーターに乗り、ロビーに向かった。


運良く、一階には誰もいなくて。


俺は灯を背負ったまま外に出た。


「津堂がどこにいるかわからないけど、絶対に探してやるさ。だから灯、それまでの辛抱だぞ」


聖戦ではないから光の壁は越えられない。


それでも、移動していれば丁度聖戦になるかもしれないと考えながら、俺は東軍の方に向かって歩き出した。


背中に、灯の温もりを感じながら。
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