30歳のクリスマスソング
 するとリョウはゆっくりと自分だけ先に演台(えんだい)の下から抜け出すと細くて長い手を差し出した。


「ほら行くよ、セリ」


       ーーセリ?
    ーーまさかの呼び捨て?


    それでも久しぶりの感覚に
   思わずキュンとなるアラサー。


「う、うん」


 リョウが演台の右側のドアを開けると、そこはちょっとした応接間のように見えた。そしてその部屋のアタシの身長よりも高い2m近いところにあった排気口のような小さな窓を開ける。

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