溺愛フレグランス
「でも、この焦りみたいなイラつきは何なんだろう?
晴美が俺以外のゲス男と結婚なんて、絶対に嫌だ」
「ゲス男は余計。
友和さんはゲス男なんかじゃないよ」
「いや、奴は完璧なゲス男だね」
私の隣で当たり前のように私のプライベートに口を出す朔太郎は、珍しく正直な気持ちを吐き出している。
私達の二人の関係性を、何も今日考えなくてもいいのに…
「俺はさ、結婚には向いてないのかもしれないけど、でも、晴美とだったら結婚してもいいのかな、なんて思い始めてる」
「何、それ?」
私は可笑しくて笑った。
「朔太郎はフリーのままがいいんだよ。
誰々とか関係なく、結婚したらすぐに逃げ出したくなっちゃうんだから」
私は本当にそう思っている。だから、朔太郎との結婚は考える気にならない。朔太郎を想う気持ちは家族みたいなもの。私の心は勝手にそう思い込んでいる。
「でもさ、結婚に向き不向きとか関係なく、晴美が他の誰かと結婚するのは嫌だ。
めちゃくちゃ嫌!
ねえ、これって何だと思う?」
私は肩をすくめてさあねと言った。
それは、子供が大切なおもちゃを友達に貸したくない、そんな単純な感情だと分かっている。