翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?
ドキドキしたままおそるおそる顔を傾けると、そこには子供みたいにあどけない表情で眠ってる翔ちゃんがいた。
おい!
さっきのは何だったんだ!!
そう突っ込みたくなるくらい一生懸命眠ってるのが、笑っちゃうくらい、泣き出したいくらいに愛おしい。
だからどうにもガマンできなくて、彼のおでこに、自分の頬を寄せてしまった。
奥寺さんごめんなさい。
でも、これでおあいこってことで。
翔ちゃんの左手にそっと自分の指を絡めてみた。何もかもが、びっくりするくらい熱い。
すらりとして、だけど大きくて、節ばった男の子の手。
その感触を覚えておこうと、自分の手と比べたりしてみるけれど。
無理だよ、おぼえられっこない。
何度でも、いつまでも、このままにしておきたい。
でもそれじゃ、胸が壊れてしまいそう。