翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?

繋いでいた手を未練なくほどいて、代わりに鞄の中を漁った。

「急にどうした?」

「翔ちゃん、本気出してもいい?」

「なんか、こわいけど」

取り出したのは英単語帳。


「明日までにこれ一個まるごと覚えて、
他の教科も頑張って、それでクラスで10位以内に入ってみせる!いや。やっぱ15位?
いやいや20位以内には……」


岡崎君が言ってた。
言葉にすれば願いが叶うって。
なのに翔ちゃんは笑いをこらえてる。


きっと私は翔ちゃんの顔を1日でも見られなかったら干からびてしまうと思うんだよね。
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