翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?

少し切なくなって、鞄の中にあった「君100」をめくった。


じつはこの作品には漫画も太刀打ち出来ないような素敵なエピソードが詰まっていて
私と華世ちゃんはその話を聞いたとき号泣しすぎておかしくなり、二人で頭痛薬を分けあったくらいだった。


だって岡崎君が
「橘之宮ちぇりこって実は死んじゃったお姉ちゃんなんだよね」
なんて言うんだもん。


彼にはだいぶ年の離れた漫画家のお姉さんがいて、その仕事の一部始終を岡崎少年はいつもそばで見ていたらしい。


そのうち自然とアシスタントのようなことをするようになって、無垢で斬新な弟の発想を、彼女は作品作りのヒントとして取り入れてくれるようになった。


ふたりは姉弟ならではのチームワークで
「今もっとも目が離せない少女マンガ家」として、橘之宮ちぇりこの名前を世に知らしめた。


でもお姉さんはこの連載が軌道に乗り始めた矢先に体調を崩し、ついには漫画が描けなくなってしまったらしい。
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