翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?
『女の子』
そんなワードが頭をよぎった。
「ちょ、これびしょ濡れどころじゃねぇし!」
「ごめんなさい。でもそんなに怒らないでよ。ほら鍵、抜くの忘れてるよ」
どうしよう、泣きそう。なんで。
「鍵とかどうでもいいからまずは風呂!」
勇気を出して見上げた翔ちゃんは私ほど濡れてない。
その事実に胸がヒリヒリと痛む。
「翔ちゃん、なんであんまり濡れてないの?」
素直にそう聞いたら翔ちゃんは少し驚いて、それから笑って私を浴室まで引っ張った。
「気にすんな。新手の詐欺にひっかかってただけだよ」
「詐欺ってなにそれ」
「いいから、ほら」
大きなTシャツを押し付けられたから、シャワーを借りることにした。