翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?
言ってしまったら、ギリギリ保っていたせつない気持ちがぶわわと溢れだした。
止めるに止められない。
制御不能だよ。
「どーしよう、なっちゃん」
鼻をすすった私に、なっちゃんは大丈夫だよ。って優しく言ってくれた。
「でも、もう遅いの。しょっぱなから失恋なんだもん!」
翔ちゃんのあの甘い香り。
しゃぼん玉が弾けたみたいな、清楚で優しい匂い。
あれは奥寺さんの香りだって思い出してしまった。