翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?
じわりと涙が浮かぶ。
なのに翔ちゃんは振り払ったはずの私の手を、確かめるように強く握った。
そんなこと今までなんとも思わなかったのに、なんで息することすらままならなくなるんだろう。
「美緒のほうが熱がある」
「何言って……」
言い終えないうちに、ふわりと翔ちゃんの大きな手のひらが前髪を掻き分けておでこに触れた。
突然すぎて、ドキドキしすぎて、声が出ない。
その手はするりと
私の首筋まで降りてきた。
翔ちゃん……心臓が。
破けそうだよ。