会長。私と恋のゲームをしてください。
メイクが崩れないように。

髪が乱れないように。

ワンピースが汚れないように。

細心の注意を払いながら、レストランへ到着。


レストランの前のベンチに人影が見える。


もしかして会長?


視力が悪くて、ぼやけてみえる。

私は怪しまれないように、人影に近づく。


あ。

やっぱり会長だ。


いつ見てもイケメンだ。

すれ違う女の子たち、会長を見てきゃぁきゃぁ言っているもん。


少しだけ、嫌な感情が出てくる。


会長は腕を組んだままうつむいている。


……寝ている?

日向ぼっこ、気持ちいいもんね。


じゃなくて!

会長、私に気がついていない……?



「あのー」

「……」

「会長ー?」



返事がない。

これは本気で寝ている。


私は座っている会長の目の前にしゃがみ、会長の膝に手を置く。

ぽんぽん、と膝を叩いてみる。



「会長ー? 起きてくださーい」

「ん……」



少し反応した。

起きるかな、と思って少しじっとしてみたけど、まだ夢の中らしい。
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