無口な彼の熾烈な想い
しかし、無駄に空気を読む・・・いや、空気と化す、ことのうまい二人は言葉を発することなく、楽しげに受付カウンターの中から4人の様子を伺っていた。

「瀬口さん・・・さっきのは物の例えです。こんな大きな女性がいたら私だって驚きます」

「誰がデカ女だ」

「ケントくん、女の子だったの?卵産める?」

鈴と絢斗、花菜のやり取りに、思わず3次元美女が笑った。

「あら、絢斗がこんなにお話ししてるの初めて見るわ」

゛えっ?これで?゛

鈴と兄夫婦は揃って驚いたが、僅かに眉を上げただけでとどまった。

だてに、幾人かの名だたるモンスター飼い主達を言いくるめ黙らせてきたわけではない。

無表情の絢斗に負けず劣らず、このひらの3獣医師達も鉄壁のポーカーフェイスを誇るのだ。

何はともあれ、3次元イケメン瀬口がここに来て発した言葉は二言だけ。

『俺は最初から男だ』
『誰がデカ女だ』

これだけでいつもより多弁だと言われる瀬口絢斗とはいったい・・・?

鈴は、3次元イケメンのツンツンデレなしのイメージとは別に、絢斗に興味がわいた。
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