無口な彼の熾烈な想い
「あーあ、疲れた」

一日ぶりに自宅のマンションに帰ってきた鈴は、帰宅した直後に冷蔵庫に向かい、冷やしていたお茶のペットボトルを取り出すと一気に飲み干した。

仮眠したとはいえ、当直明けの夜は疲労が嵩む。

今日は特に、終業間際に現れた、性格は全く似ていないのにひしひしと血の繋がりを感じさせる姉弟と少女に珍しく振り回されてしまった。

せっかくの創作料理店へのお誘いだが、兄夫婦さえ顔を出せば面目は立つだろう。

鈴はあまり面倒事が好きではない。

仕事をして、たまに、今はまっている乙女ゲームにアクセスし推しメンボイスに癒されれば良し、というイージーモードな生活から離れたくはないのだ。

買いためている小説もある。

録りためている動物番組や世界遺産の番組も見なければならない。

鈴は、冷凍のパスタをレンジに投げ込むと、お風呂に給湯器のお湯をためるスイッチを押す。

明日、明後日は連休で休みだ。

食事をしてお風呂を済ませたら、心行くまで惰眠を貪ろうとそう心に誓って一週間の激務を締めくくった。

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