無口な彼の熾烈な想い
「ふくろう・・・カフェ、ですか?」

「ああ、猫カフェとかドッグカフェとか色々流行っているだろう?鳥好きな花菜に感化されて、姉さんがふくろうカフェがやりたいと言い出したんだ」

「ふくろうは動物を補食する猛禽類です。そんなに簡単には飼育できないかと。ましてや多頭飼いならキチンとした知識や最適な環境作りも重要です」

ふくろうの売買にはワシントン条約も絡んでいる。

ふくろうは海外から輸入取引されるのが一般的だ。

野生のふくろうを飼育することは禁止されているし、しかも登録された個体しか売買することも許されていない。

ふくろうは生肉を好む。

毎日新鮮な餌(ネズミとか鳥とか)をその手で刻み、過不足なく与えることは可能か?

放し飼いにするならその施設の広さは?

糞の処理は?

夜行性のふくろうの習性を考えている?

まだカフェの話が決まったわけでもないのに、鈴は頭の中で悶々としながらそんなことを考えていた。

「俺もそう言ったんだ。でも姉さんは言い出したら聞かない。だから実際に見て、知識武装してから反対しようかと思って」

絢斗が鈴を連れてきたのはふくろうのいる動物園。

お金を払えばふくろうとふれ合うこともできる。

かくいう鈴にとっても、本音を述べても良いのなら・・・至福の場所といえた。

しかし、この゛ふれあい゛という催し。

動物側のストレスを考えると鈴は大手を振って大賛成とは言えない。

まあ、そこのところは担当の飼育員が動物の体調を考えながら調整していると聞くので許容範囲、としたい。

おそらく人懐っこい子たちが選ばれているのだろう。

本音の本音を言うならば・・・鈴は前々からこの動物園に来たかったのだ。

ワクワクしないはずがない。

その理由は言うまでもない。

ハリー◯ッターで一躍時の人(鳥)となったあのシロフクロウのシロちゃまがいるからなのです!!!

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