無口な彼の熾烈な想い
「お母様はチョ◯が好きなのでしたら犬派なのですか?」

「実物は嫌いよ。子犬や子猫のうちは可愛いけど、大きくなったら写真やイラストに限るわね」

話せば話すほど感心するほどの悪役令嬢。

動物でなくとも、子供時代は可愛くてもいつかは大きく凛々しくなるとのだというのに、小さい子は良くて大人になったらダメとか、実に勝手な理論だ。

男らしく育った息子の絢斗を認めようとしないのも、所有物として扱うのもそんな幼児性の現れだろう。

「アニマルカフェの動物達もずっと子供でいられる訳ではないですよ?むしろ大人の時代の方が長くなる。それでもお母様はアニマルカフェを楽しめるというのですか?」

絢斗には悪いが、こんな幼児性の強いオーナー(自称)がアニマルカフェを経営するなど、最悪な結末しか見えない。

カフェという舞台の上とはいえ、演じる俳優である動物達には命がある。

飽きたからと取り替えの利くゲーム上の登場人物ではないのだ。

どんなことがあってもこの継母(いや実母?)にアニマルカフェを諦めさせねば、そう、鈴は深く心に誓うのだった。
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