パリへ追いかけてまで
「やっぱりなぁ〜 俺の知り合いが事務局にいてさ、
今回のコンクールで審査員全員一致の作品がある。って聞いてさ〜。 
ダントツに良い作品だって!
コンクールは、名前を伏せて審査するだろう?
ソイツも俺の弟が、最終審査に残ってるって知らなくてな、
俺も、知らないフリして、ふ〜んって…
どんなデザインか聞いたら、巻き貝みたいな作品だって 言うんだよ。
やっぱ〜 気になるじゃん?
弟の応募したコンクールはさ〜 ハハハ。
おめでとう!亮!
発表前に教えてゴメン!でも、嬉しくてさ〜! 

このコンクールで金賞受賞すると必ずと言っていいほど、一流の建築家になるらしいぞ!
ヤッタな! 亮!」

「え、 え〜! 樹兄!本当? ヤッタ〜!
ヤッタよ、い…つ…き…に、い………。」

亮は、絶対にパリに行く前に、コンクール入賞の実績が欲しくて張り詰めていた緊張が緩み
樹兄の前で、ぽろぽろ 涙が出てきた。
涙を、ぬぐい。
樹兄の方を見て、
「俺は、必ず、斉藤さんのような、思いやりのある超一流の建築家になるから!」

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