パリへ追いかけてまで

私の番になった。

私は小さな頃、お父さんが病院で亡くなったの。
お父さんは、ホテルのフレンチレストランのシェフだったんだけど、家では一切料理をしなかったのに、
一度だけ、10歳の時に "二分の一 成人式" と言って家でフレンチを作ってくれて食べたの。

私とお母さんがお客様みたいにテーブルに座って
お父さんは、シェフの格好をして調理して…
前菜が運ばれてきて
お母さんはナイフとフォークの使い方を教えてもらいながら私は食べたのね。

いつも、家でTV見たりするうちのお父さんが、スゴくキレイなお料理を作ってくれてね、
まるで、お皿に絵を描いてるみたいだったの。

たぶん、
お父さんは、その時もう病気で長く生きられないってわかってたんだと思う…
お父さんは、ホテルを辞めて自分の店を持つのが夢だったの…
私には、そこまでは無理かもしれないけど自分が納得するまで、フランス料理をマスターする為に、修行をパリでしたいんだ!


< 42 / 391 >

この作品をシェア

pagetop