ライオン少女は宇宙系男子を落としたい
引き止めてきた彼に涙を流しながら言い返す。

なによ、さっきまで冷たく当たってたくせに。
どうしてそんな心配そうな目で見てくるの。



「何のつもり……?」

「泣かせたから責任取ってるんだよ」



ハンカチで涙を拭う手が優しい。

意味わかんない。
優しいのか意地悪なのかどっちかにしてよ。



「じゃ、俺そろそろ行くから。ちゃんと全部拭いてから戻れよ」

「えっ、ハンカチは……」

「あげる」



チャイムが鳴り出し、詩恩は半ば強引にハンカチを押しつけていった。

去り際に、「ごめん」と耳元で呟いて。

急にしおらしくなっちゃって。まさか泣き出すなんて思ってなかったんだろうな。



「プッ……どんだけ星好きなのよ……」



ハンカチを広げてみると、全面にたくさんの星座がプリントされていた。

お気に入りかもしれないし……明日洗って返すか。



──翌朝。



「あ! おはよう詩恩!」

「おまっ……まさかずっと待ってたわけ?」

「うん!」



朝イチで登校し、2年2組の教室の前で詩恩を待ち伏せした。

目をまん丸にして顔を引きつらせるその姿は、まるで不審者に遭遇したかのよう。

ちょっと怖がらせちゃったみたい。
< 27 / 242 >

この作品をシェア

pagetop