ライオン少女は宇宙系男子を落としたい
苦笑いで人混みを指さした。



「それなら買ってこようか? 無理に入って埋もれたらいけないし」

「い、いいんですか⁉」



買ってきてくれるの⁉
人混みに入るのも出るのも大変なのに……。



「うん。何が欲しい?」

「わ、私はカツサンドで!」

「俺はメロンパンとクリームパンで」

「了解。ちょっと待っててね」



ニコッと笑って、先輩は再び人混みの中に入っていった。

今朝会ったばかりの後輩にこんなに親切にしてくれるなんて。優しいなぁ。



「……もう乗り換えたのか」

「へ? 何の話?」

「別に。先輩のこと、好きになったんだ?」

「そういうわけじゃ……ただの憧れなだけだよ」



黒瀬先輩のことは、好きなアイドルや俳優に対してよく言う、推しに近い。

詩恩が青石先輩に憧れているような感覚だ。



「ふーん。憧れの人にカツサンドを買ってこいって頼むのか。しかも今朝初めて会った人に」

「いいでしょ別に! って、なんで今朝会ったって知ってるの⁉ 先に教室に行ったんじゃなかった⁉」

「話してるの聞こえたから」

「えっ! もしかして見てたの⁉」

「うん」
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