これを愛というのなら
新しい年が明けてから、早いもので。

桜が咲き始める季節になった。


この結婚式場に、一本だけある桜の木。

休憩中に見ていた私に、


「もうすぐ…咲くな」


声をかけて来たのは、愛する人。

横に並んで、手を握ってくれる。

いつものように指を絡めて。


「そうだね。見に行けるかな?」


「咲いたら、見に行こうぜ」


「去年も行ったよね?まだ付き合ってなかったけど」


「行ったな。お爺ちゃん、お婆ちゃんになっても一緒に行こうな」


「うん、行こうね」


桜の木を見上げていたはずの私たちは、自然と額と額をくっつけて、笑い合っていた。



だけど、今年の桜を二人で見に行くことは出来なかった。


社長のたった、ひと言で。




「来月にオープンする結婚式場の案内所の、チーフを倉本にお願いしたい」




私に務まるかな?


蓮に相談すると、


今まで、帰ってからは仕事の話はしないって暗黙のルールみたいになってたけど。

愚痴ったっていい。
辛かったら、上手くいかなくて悔しい事があったら、泣けばいい。

俺が、梓の一番の味方だ。

俺がついてる、それを忘れんな。

務まるのか、務まらないのか不安なら…やれる所まで、やってみろ。
梓が、そこまでやって続けたいって思うなら…頑張れるまで続けたらいい。


そう、背中を押してくれて。


俺に出来る事なら、何だって協力してやる。


頼もしい言葉も添えてくれた。
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