これを愛というのなら
俺が、入社したリュミエールの系列の、結婚式場案内所=マリッジ。


大学を出て、特にしたいこともなく。

就職浪人をして、3ヶ月。

ネットに出ていた、募集ページを見て何となくクリックしてみると。


募集ページのトップ画面に、チーフが載っていた。

可愛い笑顔に、一目惚れだった。


当然、モデルさんだと思っていて、

ここの系列に入社したら、いつかフェアで会えるかもしれない。

そんな安易な理由が、本当の動機。


採用通知が届いてから、1週間後の初出社の日。

一目惚れの相手が目の前にいて、しかもチーフで。

左手薬指には、ダイヤの指輪が光っていた。

しかも、鈴木さんによると相手はリュミエールの料理長で。

お姫様抱っこしていた人だった。

男から見ても、カッコいいと思う容姿。

ここに飾ってある写真は、色っぽいけれど爽やかさを感じる笑顔と。

楽しそうな無邪気な少年みたいな笑顔の写真。

負けた、と思っていても。

敗けを認めたくない自分がいて。

誘ってみると、あっさり玉砕。

それでも、言い続ければ、OKしてくれるかもしれないと、日課になっていた。


一度でいいんです。

デートしてください。

下心なんてないんで。

料理長に見せてるような笑顔を、1日だけ独り占めしたいんです。
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