これを愛というのなら
松田青果に寄るとーーー。


「梓ちゃん、裕司が連れて来た友恵ちゃんのことも色々とありがとう」


「そうね、ありがとうね」


おじさんとおばさんに、こちらこそ守って貰いました。


今日はお金はいらないから蓮に美味しい飯を作ってやって、と言ってくれた。


ありがとうございます!



小野鮮魚に寄るとーーー。


昨日はありがとう、と言った私に。


「俺は当たり前の事をしただけ、ちゃんと蓮に抱き締めてもらった?」


「抱き締めてもらったよ」


よかったな。


うん、それよりね。気になることが……


あの時の蓮と小野くんの目配せが気になっていた。

まるで蓮は、小野くんのお義父さんが来てくれているのを、知ってるみたいだったから、訊いてみると。


「蓮には言ってあったんだよ。奈々枝のお父さんに、いざって時はお願いしてあるってね。だから、蓮はわかってたんじゃいかな」


そういうこと!


「そういうことだから、今だって目配せだって俺もわかったんだよ」


咄嗟にわかるって……二人の勘と暗黙の了解には頭が下がる。


私が買おうとした、いわしのすり身。


「いわしのつみれ汁は蓮の大好物だろ?」


「うん、そうなの。たくさん作ってもすぐになくなる」


サービスするよ、と言ってくれた小野くんにありがとう。


蓮の怪我が治るまでは、店を休むことを伝えて、次はーーー。



精肉屋さんへ寄る。


「おう!梓ちゃん!その後は進展あった?」


「もうすぐ解決しますよ!いい方向に!」


本当か!?


嬉しそうなホッとしたような、おじさんに、はいっ!と答える。


「あいつら、悪ガキ3人でなぁ……よく悪戯して怒ってのにな。大人になったもんだ!」


「小さい頃は、蓮が悪戯を仕掛けて、松田くんが便乗して、小野くんが止めに入って巻き込まれるって、そんな感じがします!」


「梓ちゃんはよくわかってるなぁ。まさにそうだった!」


「そんな3人だから出来たんです!」


そうだなぁ……と笑ったおじさんに釣られて私も自然と笑顔になる。


おじさんは、買おうとしていた牛肉の肩ロースををサービスしてくれて。

蓮は肉じゃが好きだろ、と。


「肉じゃがは肩ロースが一番旨いぞ!」


ありがとうございます!





今日はサービス品でいっぱいだ。


帰って来た蓮に話すと、よかったな、と。


それで、旨いもん作ってくれよ。


もちろん!蓮の大好きなものばかりだよ!
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