これを愛というのなら
朝、目が覚めるとー、

隣に蓮の姿はないかわりに、いい匂いが鼻を掠めた。

その匂いに釣られて、キッチンに向かうと、朝ご飯を作ってくれている蓮の姿があった。


「おはよ!」

背中をバシっと叩くと、イテッと。

危ないだろ?


「…もっと可愛いく、ポンっと出来ねぇのか!?」


と、私の額を軽くポンっと叩いて。


「この前も言ったよな?」


覚えてないとか言うなよ、と私の唇に人差し指を添えて、

スッと、その指を横にずらして。

おはよ、と唇にキスをした。


頬を膨らませた私を、可愛い、と言って頭を撫でる。



「梓のことだから…今日くらい休めって言っても仕事、行くんだろ?」


「行くよー!」


「だったら、早く用意して来いよ!もうすぐ朝飯、出来るぞ!」


よく私のこと、理解してくれてるし。

意地悪した後に私が喜ぶことをわざと、さらっとしてくれる。




キッチンに背を向けて言った蓮には、本当に敵わない。


この先も……ずっと。
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