異世界転生したから、楽しくスローライフを送りたい!!

十年後 魔女としての独り立ち

十年の時間が過ぎてセインお兄様も領地の騎士団で活躍しているし、カインお兄様はお父様の補佐をして、しっかり領地経営も教わり順調に代替わりの準備が進んでいる。

私は、十六歳になり無事に成人となった。

その間に兄二人は結婚してお嫁さんを迎え、ガルムトア家は兄二人の子も増えて賑やかになった。

そして、一年前私はルーチェさんを見送りそれまでに教わったことをそのまま生かし、現在の緑の魔女としてガルムトアの森を管理している。

たくさんのぬいぐるみ精霊たちと一緒に、森で穏やかに過ごしている。
二年に一度は魔女の塔で赤と青の魔女との交流も欠かしていない。

この十年で、五回会ったが、あの二人は相変わらず美しい美女のままだ。
私は一応成長したものの、成人を迎えてなおまだまだ二人のような域には到達していない。

まだまだ伸びしろはあるはずと、思いつつ二人と会うときは、初めて会った時のように穏やかに過ごしている。

「シーちゃん！　遊ぼう！」

そう声をかけてきたのはカインお兄様のところの息子で、カイル。
今年四歳になった、カイルは活発でお兄様に似て頭が良く、穏やかなタイプで容姿はお嫁さんであるお姉さんに似て美形だ。
今から将来が楽しみな甥である。

「あら？　でもカイルはこの時間はお勉強の時間でしょう？」

私がそう言うと、カイルはニコッと笑って自慢げに言う。

「もう、今日の課題は済んだから、遊んでいいってお母様が言ったもの」

その言葉を聞いた私は、カイルの手を引いて森の入り口で見つけやすい薬草を一緒に摘んで過ごしていると、カインの兄様がやってきた。

「こら、カイル。お前はまたシェーナのところに来ていたのか。シェーナは、魔女の仕事でいそがしいんだぞ？」

見つけたカイルを抱え上げて離すカインお兄様は、すっかりいい父親である。

「大丈夫よ、お兄様。カイルは私の薬草摘みを手伝ってくれたのよ」

私が平気だと声を掛ければ、お兄様は私にも手を伸ばし頭を撫でた。

「シェーナもすっかりお姉さんになったな。でも、お前も森の管理がある。無理はするなよ」

優しい家族との関係も人数が増えても相変わらず温かい。