異世界転生したから、楽しくスローライフを送りたい!!

必然的に、魔女の数も減っており、次世代がなかなか現れないことが問題になっているのだという。

「魔女というのは、生まれながらに大きな魔力を持つもの。そういった子どもを国で保護し、教育して森の管理を任せているのよ」

そのために教会での魔力検定が国で義務とされており、六歳の誕生日で受けることになっているのだという。
それを、子どもが生まれたことも届けておらず、検定を受けさせぬままに捨てたうちの親。ルーチェさんは穏やかな表情でありながら、少し怒っているように感じた。

「最近、なかなか次世代が現れなくて、私世代の魔女はヤキモキしているというのに。最近の若い貴族には、こういった教育が届いていないのかしらね?」

そこら辺は、私も子どもだから分からない。
私が話せる大人は、リーネしかいなかったからだ。

「魔女の寿命が長いことで、危機感が薄れてしまったのでしょうね。調和者がいなくなれば、森はたやすく枯れてしまうことを、今の人たちは知らないのでしょう」

そう、リーネは話す。
リーネが幼いころは隣国と戦争があり、沢山の魔女が亡くなり、森が枯れてしまったこともあったのだという。
この辺境伯領には、ルーチェさんがいたから、森は枯れず、今なおしっかりと営まれている。

ルーチェさんは、それに同意しつつ教えてくれた。

「私は運が良かったんだよ。戦争は、こちらとは反対の辺境に接する国とのものだったから。でもね、そのせいで反対の辺境は今も魔女がいない、荒れた荒野のままさ」

この世界の自然調和は、魔力を持つ魔女に左右される。
そういう世界だったらしい。
そして、ルーチェさんは言った。

「私も、そろそろ次世代が欲しかったところだよ。お前さんさえ良ければ、うちの子になってこの森を継いでおくれ」

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