キス・ミー・クイック
閉店後、店内の掃除をしながら、マスターにたずねてみた。


「マスター。石垣さんと砂夜さんって、恋人じゃないんですか?」


グラスをぴかぴかに磨き上げながら、マスターは質問とは別の答えを返してきた。


「お客様の詮索はしない。バーテンダーの鉄則だよ」


確かに、マスターのいうことは正しい。


けれど、どうしても気になってしまうんだ。


このままじゃ眠れないほどに。


最初は恋人なんだと疑いもしなかったけど、カクテルのやりとりあたりから、確信がなくなった。


あの駆け引きは、恋人がするようなものに思えなかったから。




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