キス・ミー・クイック
そんな彼の様子をみて、マスターが。


「申し訳ありません。お気に召しませんでしたか」


渋い声でたずねる。


彼はあわてて首を振る。


「いや、そんなことない。……おいしいよ」


とてもそんな風には見えなかったけれど、顔に出すわけには行かない。


マスターのマティーニは、ジン5に対してベルモット1。


ドライマティーニと呼ばれる部類に入る。


飲みつけていない人間にはかなり辛口だろう。




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