奥手な二人の両片思い

教室を後にして校舎へ戻る。

その途中、中庭に水沢くんの姿を見つけた。

ベンチに座って友達と話している。


なんか深刻そうな顔してんなぁ。何話してんだろう。


気づかれないように近づき、聞き耳を立てる。



「海先生になら、委員会でお世話になったから渡しただけだと思うよ」

「わかってる。でも……あんなに可愛い笑顔でお菓子渡しているの見たら自信なくなってきた」



海先生? 委員会? 可愛い笑顔? お菓子?


……もしかして、清花ちゃんのこと?


確か1年の時、保健委員してたよな。
パーティーの時のデレ具合から、清花ちゃんしか思い浮かばない。



「告白しないほうがいいのかな……」



えっ、告白……⁉
……これはマズいかもしれない。



急いで教室に戻ったけど、まだ戻ってきていない様子。

そわそわしながら待っていると、前方のドアがガラッと開いた。



「清花ちゃん! どこ行ってたの⁉」

「え? 海先生にお菓子渡しに行ってた」



ルンルン気分の彼女の元に慌てて駆け寄る。

マジかよ……。
やっぱりさっきの話、清花ちゃんのことじゃん。



「どうしたの?」

「……さっき中庭でさ、水沢くんが友達に『告白やめたほうがいいのかな』って相談してて……」
< 113 / 144 >

この作品をシェア

pagetop