奥手な二人の両片思い
ルンルン気分をぶち壊すトーンで説明。

帰ってきたばかりで申し訳ないけれど……このまま放っておくわけにはいかない。



「『あんなに可愛い笑顔でお菓子渡しているの見たら、自信なくなってきた』って言ってたよ」

「それ、私のこと……?」

「……多分」



ボソッと答えると、ご機嫌だった顔が一気に不安の色に。

今朝、背中を押してもらったのに、不安を煽ってしまった。


でも、誤解されたままだと溝が深まってしまう。



「さっき先生に渡してたの、見られてたのかも」

「近くにいたんだ……」

「清花ちゃんって、先生のこと好きなの?」

「そういう意味で渡したわけじゃないよ」



じゃああの友達が言ってた通り、お世話になったお礼として渡したのか。



「勘違いさせちゃった……?」

「……かもね」



そう答えると、不安の色が強まり、青白くなってしまった。



「なんかごめんね。水沢くんの気持ち考えたら言わずにはいられなくって」

「ううん……教えてくれてありがとう」



──放課後。



「……何かあった?」



電車を待っていると、綿原さんが心配そうに顔を覗きこんできた。



「いや、その……お菓子全部食べきれるかなって」

「バッグパンパンだもんね。何個あるの?」

「他のクラスの人にももらったから……20個以上はあるかな?」

「わぁ、モテモテだねぇ~!」

「全部義理チョコだけどね」



ごめん綿原さん。
さすがに清花ちゃんと隼と話した内容は言えない。
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