奥手な二人の両片思い
「綿原さん、朝から親切だねぇ~」

「それは上川くんもでしょ?」



つり革に掴まって楽しくおしゃべりをする私達。


上川怜也くんは、中学からの同級生。
そして……私の好きな人。


最初は仲がいいクラスメイトの一人だったんだけど、女子達から仲間外れにされて独りぼっちになっていたところを助けてもらって、それがきっかけで好きになった。


当時から、男女問わず先輩後輩、そして先生達とも仲良くしていた人気者なんだ。


外国の血が混ざってるのかと思うくらいハッキリした顔立ちで、モデルさんみたいにスラッとしてて、ハキハキした声が特徴。

少しお調子者で、男子達からは「残念なイケメン」って言われてるけど……私はその飾らない性格が好きなんだよね。



「上川くんっていつもこの時間に通学してるの?」

「いや、今日は始業式だし、クラス替えがあるから早めに行こうかなって。新しい友達欲しいし」



どうやら新学期で張り切りすぎて、髪のセットに時間がかかってバタバタしちゃったらしい。



「そうなんだ。多分私達クラス別れるよね。文系と理系だし……」

「だよねぇ~。寂しいなぁ」



私達の学校は、2年生からコース別のクラスになる。

文系の私と理系の上川くん。
きっと教室も離れるだろうなぁ。



「友達できるかな……」

「大丈夫だよ! 持ち前の社交性を活かせばすぐできるよ!」

「ありがとう……」
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