奥手な二人の両片思い
地図を探しに周辺を歩き回るも見つからず、どんどん時間が過ぎていく。

これじゃあ清花にますます心配されちゃう……。



「どうしよう……」

「あの~、綿原さんですよね?」



途方に暮れていると、同じ学校の制服を着た男子生徒達に声をかけられた。



「はい……そうですけど……」

「何か困ってるみたいだけどどうしたの?」

「あ……迷っちゃって。あの、同じ制服の女の子見ませんでしたか?」

「いや、見てないなぁ」



顔を合わせて頷く彼ら。

それもそっか。私達がいた場所とは離れてたからね。



「そうですか……じゃあ私はこれで……」

「あぁ待って! せっかくだし、一緒に捜すよ」



腕を掴まれて呼び止められた。

知らない人達とはいえ、同じ学校の生徒だし。
一緒に捜してくれるのはありがたい。

と思ったけど……。



「あの……放してください」

「1人だと大変じゃない? 一緒に捜そうよ」

「みんなで捜したらすぐ見つかるよ!」

「そうだよ。連絡できないんでしょ?」



腕を掴んでいる手が強くて、怖くて振りほどけない。

引っ張られて連れて行かれそうになったその時──彼らの間から見慣れた顔が見えた。



「モルく……モルくん!」



突然呼ばれて驚いている水沢くんに必死に助けを求める。



「モルくん! こっち! モルくん!」

「ど、どうしたんですか⁉」



若干戸惑いつつも、走ってやってきてくれた。
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