奥手な二人の両片思い
「あの、何やってるんですか?」

「綿原さんが友達とはぐれちゃったみたいで、一緒に捜そうとしてたんだよ」



一人の男子が答えると、水沢くんは掴まれている私の腕を解放して。



「先輩は、僕が友達のところへ連れて行くので大丈夫です」



彼らから守るように前に立ってくれた。

あんなに私を警戒してたのに……なんて優しい子なの!



「……わかりました。じゃあ頼むね、うさぎくん」

「ブッ! うさぎてお前……」

「ちょっ……失礼だぞ……」



うさぎくんという名前に、次々に肩を震わせ始めた男子達。

水沢くんがどんな顔をしているか見えないけれど……きっと嫌な顔してるはずだよね。



「私の友達に何か用ですか?」

「「「あ……青石さん⁉」」」



目の前の彼を心配していると、突然清花が現れた。



「嫌がっているのがわからないんですか?」

「「「しっ……失礼しました‼」」」



彼女を見るや否や、彼らは怯えた様子で走り去っていった。

すごい……一人で追っ払っちゃった。



「清花~! ありがとう~!」

「無事なら良かった。でも、なんで透瑠くんもいたの?」

「巻き込まれました」



清花に抱きつく私をチラッと見た水沢くん。
相当嫌だったんだろうか、少し疲れた顔をしている。



「あ……助けてくれようとしたの!」

「デカい声で呼ばれたから無視できなかっただけです」

「でも急いで来てくれたじゃん! 腕も振り払ってくれたし!」

「怖がってたのに解放しないのも変じゃないですか」



えええ、なにこの子……。もしかしてツンデレなの⁉
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