奥手な二人の両片思い
「もう! 優しいのか冷たいのかどっちかにしてよ! ……反抗期のうさぎみたい」

「先輩こそ、モルモットなのかうさぎなのかどっちかにしてください」



うわっ、ボソッと言ったのまで聞こえてたの? 聴力までうさぎ似なわけ⁉



「みんながうさぎって呼んでるんなら、私はモルくんって呼ぶね!」

「それなら二度とうさぎって呼ばないでくださいよ?」

「は~い! モルくん♪」

「なんか腹立つなぁ……」



大量の荷物を持った黒瀬くんが来たのにも気づかず、清花も放置して、私はしばらく水沢くんと言い合ったのだった。



「今日はありがとう! じゃあね~!」

「またね~!」

「じゃーなー!」

「さようなら」



数時間後、清花達に駅まで送ってもらった。
電車を待っている間、今日あった出来事を振り返る。


多分、清花と水沢くんは両片思いだと思う。

だってさっきみんなで帰ってた時、水沢くんは清花にデレッデレな顔で話してたし、清花も顔が生き生きしてた。

二人共クールぶってるのにバレバレ……。



『怜也くんのことどう思ってるの?』



電車に乗って外を眺めていると、清花に言われた言葉を思い出した。


もちろん好きだよ。
でも、今更好きだなんて言ったら気まずくなりそう……。


ふと横を見ると、白いシャツを着た爽やかなお兄さんと、ピンクのスカートを穿いている小柄で可愛らしいお姉さんが楽しそうに話していた。


やっぱり男の人は、小さくて華奢な女の子が好きなのかなぁ。

……新しい服買ったのに、なんか自信なくなってきちゃった。
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