奥手な二人の両片思い
毎日のように図鑑とにらめっこをすること約2ヶ月。

終業式の日がやってきた。



「最近疲れた顔してるね。勉強のしすぎじゃない?」



ホームルーム中。
先生が通知表を配っている間、隣の席にいる清花ちゃんに話を聞いてもらう。



「だって魚だけじゃなくてイルカとかもいるから、もう頭パンクしそう」

「頑張るのはいいけど、宿題もあるんだから……」

「あ〜、そうだったぁ……」



魚の勉強に気を取られて、完全に宿題のこと忘れてた。

今年は科目が多いから量がえげつないんだよなぁ……。
魚の勉強は一旦中止かな。



「────……くん、上川くん!」



電車を待っていると、横から綿原さんに声をかけられた。

疲れてボーッとしてたから気がつかなかった。



「どうしたの? 考え事?」

「うん。宿題多くて計画どうしようかなって」

「それなら、水族館は宿題終わった後がいい?」

「そのほうが助かる。ごめんね」

「ううん。上川くん頑張り屋さんだし、あまり無理しないでね」

「うん。ありがとう」



ちょっと綿原さん、優しすぎない⁉
無理は禁物だけど、頑張って早く終わらせるしかないっしょ……!


翌日の朝8時。



「よし! 7月中に半分は終わらせるぞ!」



昨日はぐっすり眠って頭を休ませ、今日から早起きしてやるつもり。

綿原さんには、【8月下旬に遊ぼう】と連絡したから、それまでには終わらせないと!

頭にハチマキを巻いて、数学のプリントに取り組んだ。
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