年上幼なじみのあぶない溺愛



「想い合っているのに、先輩は宮下に暗い顔させたんですね。正直俺はそんな宮下のことを見ていられなかったですけど」

「それなら一生、志羽のことを見ないでもらえるかな。正直、君みたいな虫が一番厄介なんだよ」

「嫌ですよ、奪えるタイミング見計らってるんで。せいぜい奪われないよう、気をつけてくださいね。春哉先輩?」

「ああ、君ほど生意気で憎たらしい男は見たことがな……」

「しゅ、春哉くん!」


 もう耐えられない。
 こんな最悪な空気のまま、勉強に集中できないと思い、大きめの声で春哉くんの名前を呼ぶ。


「……志羽、どうしたの?」
「春哉くんは火神くんのことが嫌いなの……?」

「うん、嫌いだよ」
「……っ」


 まさかそんなストレートに嫌いだって言うなんて。
 予想外の返答に一瞬戸惑ったけれど、ふたたび口を開く。


「春哉くん、火神くんは悪い人じゃないんだよ……!確かに見た目は怖くて、生意気だって思うかもしれないけど、いつも私を助けてくれて……」

「志羽がなにを言おうと、いくら彼を庇おうと俺は一生嫌いなままだよ」

「そ、そんな……」

「だから変に彼の名前を出して俺を刺激しないで?次、彼の名前を口にしたら、いまこの場でキスするからね。その口、塞いであげるよ」

「……っ!?」


 春哉くんは私に顔を近づけてきて、トーンを落とした声でそう言った。

 これは……本気だ。


 みんなの前でキスなんて、考えただけでも恥ずかしくなり、顔が熱くなる。

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