年上幼なじみのあぶない溺愛
「うるせぇ、宮下は黙ってろ」
「なっ……」
薄ら笑いを浮かべていた火神くんが、途端に無表情へと変わり、私に黙れと言ってきた。
「君は自分が、俺と志羽の想いを繋いだとでも思っているのかな。それは笑えるね。君がいなくても、俺たちはずっと想い合っていたから、とんだ勘違い野郎だ」
や、野郎……!?
春哉くん言葉が、いつもとかなり違って乱暴なものになっていた。
「春哉くん、あの……」
「志羽は黙っていて。俺はいま、彼と話しているんだ」
「……はい」
ふたりとも、私を挟んで話しているくせに、私には黙れと言ってくる。
間に挟まれているため、かなり居心地が悪く、なんとかこの状況を収めようと思ったのに。
「ぶはっ……やっべぇ!春哉が珍しく怒ってるぞ!」
「ちょ、瑞樹!笑うんじゃ……ぶふっ」
「瑞樹も沙良も笑ってないで止めないと!春哉くん、すごく怒ってるでしょ!」
「だってこんなレアなシーン、次いつ拝めるかわかんねぇぞ」
「本当にね、やっぱり春哉をこんな風にできるのは志羽ちゃんだけだね」
一方で春哉くんの友達である霧谷先輩と沙良先輩は楽しそうに笑っており、それを藍原先輩が咎めていた。
いまの春哉くん、かなり不機嫌なのに……止める方法が正直思い浮かばない。
今も互いに笑っているけれど、まるでバチバチに睨み合っているかのようだ。