明日、雪うさぎが泣いたら
・・・
雪狐を抱いて帰る私の足取りは、あんなに軽かったはずなのに。
(私って、単純すぎて能天気すぎるわ。何も解決してないのに)
邸に着いてから、また自室に籠っている。
これでは、兄様の考えに反発した意味がない。
おかしいと思いながら、結果的に同じことをしている。
閉じ込められたりしなくても、忌みの日なんかなくても。
私はいつだって、ここにしかいないのだから。
《雪兎の君》
呼ばれてはっと雪狐を見下ろせば、心配そうな目と視線がぶつかる。
毛を撫でる手が止まっていた。きっと、長いこと。
《医師殿は焦っているのです。貴女には、何も知らないまま、ここで幸せになってほしかったのでしょう。医師殿らしからぬ、分かりやすい歪んだ愛情ではありませんか。もちろん、間違っていますが》
突っ込みたいところは多々あれど、それもまた正しい表現であることには違いない。
何も言葉が浮かばなくて、再び撫でてみたけれど、雪狐はふるふると首を振る。
そして、代わりに私の指を鼻先でつんと突っついてみせた。