魔界の華は夜に咲く
「アルヴァン様!!」

「ご無事ですか!?一体これは!?」


アルヴァンの部下達が駆けてきた。
いつも通り門前を警備していたが、突然の異変に気が付き駆け付けた。
アルヴァンは冷静に指示を出す。


「その者達に息があるか確認しろ。もしあれば拘束し、城の独房へ入れておけ」

「御意!」


冷静にその瞳は真っ直ぐ前を向いていた。
決して感情的ではなかった。いつも通りの仕事の様にこなした。
一人の部下にセレーンを任せ、もう一人にはリディを。もう一人には侍女を。

「離れの方に娘と侍女の亡骸がある。それも頼む」

「ははっ!」

「急いで炎を消せ。全体に広がっては厄介だ」


アルヴァンの静かな炎が灯っている瞳をセンジュはジッと見つめた。


_これがアルヴァンさん・・いつものアルヴァンさんなんだね。家族が死んでも、涙も流せないんだ。



センジュは状況に追いつけずその場で固まった。
ぶるぶると体の震えは止まらなかった。
恐怖と悲しみが支配していた。


「センジュ」


それをアルヴァンはすぐに察した。


「近くに裏・四大魔将と繋がっている者がいる。俺の妻の内情につけ込む事が出来るということは、そういう事になる」


「・・・」


罪悪感すら襲ってきたセンジュの頭を、アルヴァンは大きな手で撫でた。


「今回はこの程度の被害で済んだ。お前が無事で良かった」

「この程度って・・リディちゃんと奥さんが死んじゃったんですよ!?・・私のせいって事じゃないですか!」

「違う」

「違いません!私がここに来たから・・リディちゃんは・・っ」


_リディちゃんはさっきまで、楽しそうに笑ってたんだよ・・。一緒に遊んでたんだよ・・。


「ごめんなさい・・アルヴァンさん・・私・・う・・ぐすっ・・ごめんなさい」

「違うと言ってるだろうが」

「違わない・・違わないです・・うぅ・・どうしたらいいですか・・私・・どうしたらいい・・」


ボロボロと涙が零れ落ちた。
その泣き顔を庇う様にアルヴァンはセンジュを抱きしめた。


「落ち着け。決してお前のせいではない。決して・・」
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