天魔の華は夜に咲く
「じゃ、そういう事でお前達、センジュを頼んだよ」


「御意に」



父はセンジュから離れると手を振って部屋を後にした。

センジュは立ち尽くした。

どうしたらいいのかわからない。

自分の意思は恐らく尊重されないのかもしれない。

見た目は人間に近しいが人間ではない、異様な雰囲気を放つこの4人とどう接すればいいというのか。


「・・」


立ち尽くしていると、 一番にアルヴァンがセンジュに近づいた。


「・・まさか本当に存在しているとは、驚いた」


「・・あの・・?」


「ああ心配するな。お前のお父上は職務に向かった。夜の晩餐までには戻るだろう」


「あ、そう・・なんですね」


そんな事が聞きたかったわけではないが、とりあえず頷いた。


「アルヴァン。真っ先に姫君に興味を示すとは、次の魔王の座を狙っているのですか」


と皮肉を言ってきたのはニコニコと嘘っぽい微笑みをかけるエレヴォスという男だ。


「何を言う。お前こそ、その瞳の奥に野望を抱いているとちまたでは噂になっているぞ?」


「それはそれは、そのような噂が流れているなんて幸栄です」


「お前達よさないか。見苦しい」


と2人の間に入ったのはフォルノスという冷酷そうな男だった。

表情を表に出さない主義なのか、冷たい瞳でセンジュを見下す。


「とにかく、この中で伴侶を選んで欲しい。それ以外は認められない」


「困ります、そんな事急に言われても・・」


「その事を理解出来ていればいいだけだ。あの方のお申し付けは絶対だ」


「・・」



_何この人、とてつもなく高圧的・・怖い。



フォルノスから目を背けると、セヴィオという少年と目があった。


「ぁ・・」



_同い年くらいかも・・



口を開こうとした瞬間にセヴィオは目を背け扉に向かって歩き出した。


「正直あんたに興味ないけど、あの方の命令には従う。俺に妙な期待はすんなよ」


「なん・・!!」


_な、なんて失礼なヤツなの・・。絶対無理なんだけど!!絶対に拒否なんだけど!!こっちだって願い下げだよっ


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