天魔の華は夜に咲く
「あの、無理に父に合わせる必要はないんでしょう?私は誰とも一緒になる気はありませんから・・放っておいてください。後で父に言いますから」


「・・何を馬鹿な事を」


その場にいた4人は愕然としていた。出ていこうとしていたセヴィオの顔が青ざめている。アルヴァンもエレヴォスも、表情がないと思っていたフォルノスでさえも。

そして代表する様にフォルノスがセンジュの肩を両手で掴んだ。


「魔王の決めた事は絶対だ。覆ることは無い。唯一覆るとすればそれは魔王の意思のみだ。お前から言っても無駄だ」


「え・・でも・・痛・・」


ぐぐっ

と肩に指が食い込む。


「余計な事を言ってみろ。我々もお前も消されかねないぞ」


_え!?パパってそんなに非道なの!?こんな強面の人達が真面目な顔で訴えてくるなんて・・



「いいな?今後お前は王女として大人しくしていればいい。あの方に従え」


「そんな・・」


「あの方が選んだ。お前の母親をな。運命と思い受け入れろ」


「ママを・・」



_どうしてパパはママを選んだんだろう。人間じゃないのに・・。



疑問に浮かんだが、フォルノスの眼がセンジュを硬直させるほど鋭く訴え続けた。

魔王に次ぐ恐怖の瞳だ。


「・・・はい」


センジュが頷くとフォルノスは手を離した。

肩に食い込んだその感触はしばらく消える事はなかった。

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